2009年7月8日水曜日

勇気はグラス一杯の中に

人と違う道を進むと決めた時に覚悟はしていたはずだった。
その瞬間、周りの友人たちはただの「他人」と化し、ただがむしゃらに前に進む日々が始まった。
繰り返される日常、圧倒的な孤独。

気付けば、体はぼろぼろで、心は悲鳴を上げていた。

魔が差したのかもしれない、僕は、久々にそのドアを押した。

重厚なドアは来るものを拒む。
しかし、一歩踏み入れば居心地のよい、静かな空間がいつも迎えてくれる。

「お久しぶりですね」そう、店主は迎えてくれた。
「お忙しかったのですか?」
笑顔の店主に、僕は苦笑いをするしかない。

煙草に火をつけ、メニューをのぞいていると珍しいものが目に入ってきた。

        カルヴァドス
注文をして、出てきたグラスにはいつもと違う綺麗な六角形の氷が浮かんでいた。
「いつもはしないんですけどね…」
喜んでいることを誤魔化すようにグラスを口に運んだ。
甘い香りと共にブランデー独特の風味が口いっぱいに広がっていく。
―蜜の味は人を堕落させる―
アダムとイヴが手を出したのもわかる。リンゴはいつだって禁忌の味だ。
リンゴの力と店長の優しさ甘え(+幾分かのアルコール)、気付けば無茶なお願いをしていた。
「爽やかで、明日も頑張ろうと思えて、できるだけ強いやつを」
今思えばかなり無茶な注文だったと反省している。ごめんなさい、店長。
でてきたのは薄くピンクがかったグラス
まさかのピンクに思わず笑ってしまう。
「バラ色ですよ」とは店主。くそっ!うまいこと言うなっ!
桃の風味の後にしっかりとアルコールが効いてくる、そして、最後に微かな苦み。
半分はテキーラだと聞いて、少し驚いた。見かけによらずかなり強い。
淡く染まったグラスを傾けて、ゆっくりと口に運ぶ。
甘いだけのお酒は飽きてしまう。
人生だって、きっと同じだ。大切なのはうまく付き合うことなのかもしれない。
ほんのり薄い桃色のお酒
バラ色か…なるほど、ものは言いようかもしれない。
もう少し、頑張ってみようか。そう思い、僕は重いドアを、また、押した。

どーも黄色です。
今回は、ほぼ実話です。
違うのはアルコールの摂取量(メキシコビールをかなり煽った)ぐらい…かな。うん。

恰好つけすぎで、そのくせ写真に何の関係もなくて…
だって、昨日は恋人同士の1年に1回の記念日だもの。祝ってやらにゃあ!
織姫と彦星にとって良い日でしたように!

それではみなさん今日も良い1日を!

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